5月13日
昨日は数年前に教えていた、
生徒さんのグループの会長さんのお通夜に、お別れを言いに出掛けた。
帰り道、仕事場に寄り、
一仕事、終わらせて帰宅。夜も9時を回ろうとしてた。
喪服もなんなんで、仕事場にあったパンツとTシャツに着替え、
前日ミクが置いていった自転車で帰る。
小さな路地から、青梅街道に出る道
いつものように、車屋さんとバイク屋さんの角を、左折しようかな・・・
その時だった
目の前で激しい音と、いろんな破片とともに、
人が飛んだのだ
最初、なにが起こったのか、わからず、
ボー然としていると、白い塊が、
起き上がり、バイクを起こそうとしている!人だ!
その後、よろよろと歩道側近くまできて座り込んでしまった。
青梅街道のど真ん中で、ひっかけた車は斜めに止まり
右サイドのドアは陥没していた。
運転手が、大きい声で
ごめんさい!と叫びながら飛び出した。
完全に二人とも、パニックだ。
私はそこで初めて、大変なことが目の前で起きたことに気が付いた。
角のバイクやさんの店員さんが
出てきてくれて、救急車を呼びにいく。
動かない方がいい、どこが痛い?
やっと、それだけ私の口から出てきた。
次に運転手に、このままにしておくと危ないから
ハザードを!と。
そのうち、反対側の車屋さんと、隣の外車さんの店員さんが
夜9時で、閉店してたろうに、
激しい音のせいか、出てきてくれた。
頭を打っているかもしれないから、横になる方がいい。
バイク屋さんのお兄さんが、バイク君にアドバイスした。
もういちど、ドライバーにハザードを
といったけど、耳には入らないみたい。
暗闇の中、上下線とも普通に車が行きかう。
危ない・・・次に追突事故が起こりそうだ。
車屋さんが、サンカクの赤い楯を、とりに行って車とバイクの前後に置いた。
今度はだれかが叫ぶ、
バイクをどかせ
3人の男子が、道路に倒れている、バイクを横に寄せた。
数人の男子が、塵取りとほうきを持ってきて、
幅広の道路に飛散ったガラスの掃除を、あっという間にした。
これだって、私にはできない、結構危険な行為だ。
そうこうしているうちに、白い車が突然止まり、
なんと首から、聴診器、白衣を着た医師と思われる
白髪の男性が、近寄ってきた。
おそらく、どこかで患者を診てきた、往診の帰りだろうか・・・
いやはや、ずっと最初から付き添ってきた、
私は、声をかけ続けることしかできないので、心細かった。たった数分なのに・・・。
医師はテキパキと指示を出してくれた
この、即席の看護婦もどきの私は非力ながらも、お手伝いさせてもらった。
医者のすばらしい専門職。流石だ。
バイクくんも、安心したのか、顔に安堵感がみえる。
そうそう、このバイク君は、結構冷静で、
財布・携帯のことを、思い出した。
で、そばにいた、とおりすがりの男子が、
また、車行きかう、危険な道路に探しに出てくれ、
全部見つけた。
携帯は3つに分解されてしまったのを
その男子はその場で、組み立てなおしてくれた。
財布も、携帯も、ボタン付きのジャケットのポッケに。
3件の車屋&バイク屋さんのスタッフたちが
振り向くと、たくさん出てくれていて、10人はいたろうか。
医者も、そのアシスタントも、いて、
もう、私がいなくても大丈夫かなと思ったころ、
救急車の音がした。
おそらく、事件を最初から最後まで見ていたのは、私なので、
自分の携帯番号を、そこにいた人に手渡して、
現場をあとにした。
その日、風呂に入って思い出してきたのは、彼は飛んだけど、
たしか頭から落ちず、ジャンプするように落ちたように見えた。
距離にして、5メートルは飛んだような気がする。
でも、たしか頭は打っていなかったと思う。きっと大丈夫、そう自分に言い聞かせた。
どちらが悪いのかは、わからないけれど、
2人にとって、運が良かったと思うのは、
医者が5分位以内に、そばにいた事。
車に詳しい人たちが、現場をベストな形をとってくれたこと。
彼らは別会社の人たちだけれど、
ああいうときに、2次災害がおこらないように、さまざまな予測して行動していた。
安全を確保するための、チームワークにはおそれいった。
医者も含め、そのフットワークと、体に組み込まれた連係プレーの美しさ。
素晴らしさは、ほんと、文章にならないくらい、協力的な日本男児だったのだ。
そして、おととし、次女のミクが交通事故をおこした時、
やはり、車の部品屋さんの前で、
店の中に運んでくれて、救急車が来るまで、
おじさんの膝枕で、横になっていて、
嬉しかったと、そのあと、私に話していたっけな。
昨日の感じだと、彼はおそらく、足の骨折と打撲で
すんでいるかなとおもう。
しかしバイクの彼は、白ヘルメットはしていたけれど、
G-ジャン、白のコットンパンツ。普通のスニーカーという軽装。
大きい道路を走る時は、もっと、しっかりした服を着ないといけないね。
短パンで富士山に登るようなものだ。
(関係ないけれど、その道からは天気がいいと、朝、富士山の見える道だ。)
昨夜は、帰宅後ドキドキして、ごはんを食べる気がしなかった。
そして、喪服を着ていなくて良かったと思った。
黒い服で介護されても、バイク君は生きた心地がしなかったのでは
と、思ったのである。

事故はこの富士山を背中にして起こりました。
でも、青梅街道を背にして、見ると
天気のいい日は、朝、
この富士山の先っぽが見えるんです。