細谷ドクター

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8月28日(土)

 

暴風スケジュール

 

猛烈なスケジュールは、結果体も心も壊れるような気がするし、

実際、若いころ、そんな人たちを見てきたし・・・・

さて、いい仕事になったかといえば、

はて・・・どうだろうと疑問が残ることも多い

 

懲りて45歳過ぎてからは、ギリギリ食べ物が買える程度に

このスケジュールの前後には余裕があるだろうか・・・

そんな計算をするようになった。

余裕の時間は、暇で退屈な時間ではない。

その中心にあるものを強―く支える時間なのだ。

タイトなスケジュールは、怖い顔になるから私には向いていない。

 

と、心にちかいつつ。

今日は(昨日か)、まことにハードな日であった。

結果、そうなってしまったのだ。

 

朝から、あちこち移動で、朝も昼も食べず、

夕飯を食べ終わったとたん

寝てしまった。

記憶なし。

今、朝4時半にいつもどおり、目が覚めた時は

夕飯の後の行動の覚えはなにも思い出せない

・・・まさしく、バタンキュー

 

みんなはいつ寝たのだろう・・・と他の家族の部屋をのぞくと

みなさんフツーに寝てました。

 

昨日は、風のかたちというドキュメンタリーという映画を見たあと、

映画の監修をされた、

聖路加国際病院小児科の細谷亮太ドクターが話をされたが

細谷先生の、スケジュールのハードさは有名だ

 

私の昨日のあーっ疲れた―バタンキューなんて、

 

いったい、どうやって・・・・

それでいて、週末には故郷の山形の小さい医院に帰り

地元の子供たちを診ているという

 

で、わたしも間接的に仕事をお手伝いしたことがあるけれど、

毎号、毎号、料理の1点1点に細やかなチエックを入れてくださっていたのを

思い出した。

いったいいつ寝ているんだろう。

間に入っていた電通の人は、

細谷先生に、どんな仕事も、心配りに妥協がない、といっていた。

 

で、重度の小児がんの子供たちを

キャンプに連れいったり、

映画の監修をしたり。

こういう人に限って、忙しいなどという言葉を

言わないし、書かない。

ほんとにすごい・・・・

 

そして、なによりも、昨日おどろいたのは、

ご自分がかかわった、亡くなった子供たちの名前を書いてあるものを

濡れないようにと、袋にいれ、常に一緒にいると

おっしゃっていたこと。

 

映画の中でも後でも、亡くなった子はずーっと心の中で生きてる

その言葉は、生きていたのだ現実に。

 

私は、この映画をみたあと、ミクはなにを感じ取ったのか

わからない。

とくにきこうとも思わない。

私ですら、今まで逃げてきたものを目の前に置かれて

実は少々、慌てているのだ。

 

映画の中で亡くなったまいちゃんは

おかあさんに

『しんだら、どこにいっちゃうの?』ときくようになった

という言葉

 

思い当たることがある。

ミクが、退院後、小学生1年生だったろうか

毎週検査に行くとき、

 

『ねえ、まま、学校のみんなは検査なんかにいかないよ。

治ったってママいったのに、なんで病院いくの?行きたくないよ。

みくちゃん、死んじゃうの?』

 

この台詞をきいたとき、

死なないよ。人間はみんなしぬけど、順番があるんだ。
おじいちゃん、おばあちゃん、パパ、ママの順番かな

 

自分でも、どこか、いい加減な答だと思った。

 

いつかはきちんと、言わねばならない。そう遠くないうちに

なぜ、入院したのか、なんの病気か、なぜ、ずーっと通院するのか

話をしないといけないな・・・・

引っ越ししたんだよAちゃんも、Kちゃんもと、

診察であわなくなって、どこいったの?とミクに聞かれて、

天使になったんだと、答えられなかった。

 

 

こなまま隠しても、不安なだけだ。

2年前に話をした。ほとんどの子が今は助かることも。

細谷先生は、たいてい子供たちに治療中から、告知をする

不安もあるけど、生きていく勇気も数倍にする。

亡くなった子はみんなの心の中に生きる。

 

数年前、ミクの1歳下のAちゃんが亡くなったとき、

度重なった、子供の死に、みんな少しめげていた。

正直、次は自分のうちの子じゃないだろうか・・・

きっとだれもがそう感じたとおもう。

その頃、元気だったKちゃんのパパが言った一言で

仲間がまた、心をとりもどしてお葬式に参列した。

 

Aちゃんの死は大事だよ。

生きていたことが大事なんだよ。

行ってあげなきゃ、手をあわせてお別れしなきゃ

その1年後、なんの迷いもなく、Kちゃんのお葬式に参列した。

 

映画をみたあと、感想は・・・・と聞かれ、アンケートもわたされたけど

そうそう書けない。

家に帰ってきて目をつぶると、私の中で

入院中亡くなった子たちが鮮明に現れた。

みんなの笑った顔しか思い出せない。

毎日、不安だけど、笑って過ごした。

何度目をつぶっても、あの子たちがはっきり

確かに、心の中に、生きている。

 

子どもは、死んじゃあいけない人たちなんだ・・・

細谷先生がくりかえし、話すその台詞が印象的

 

生まれてきてから数年で理不尽な出来事を

受け止めて、治すそのプロセスは過酷だ

よく、代われるものなら

代わってあげたい・・・・という言葉

 

私は、ミクが当事者のとき、

そんな言葉は、とても簡単に使えないと思った。

正直、代われない・・・私は・・・そう思った。

余りに辛い治療だとおもったし、

一歩もベットから降りちゃいけない数ヶ月間

この環境もつらい。私なら、何度か脱走しているかもしれない・・・。

 

私には代われない。

軽々しく言葉にできない毎日のでき事。

でも、毎日、なにか楽しいことを見つけて、

大笑いしない日はない。

 

亡くなったあの子たちは、心の中に生きている。

お医者さんは、特別で治す係の人ではない

ともに生きてくれていたんだ、と改めて痛感した。

ミクの主治医の藤田先生も、藤田先生の仲間の石本先生も

石本先生の友人の細谷先生もみんなそうだ。

 

たとえ不安があっても、ともに生きてくれる人たち

その存在はありがたい。

 

今は自分たちが、ちゃんとしなきゃ・・・と

私の家族ごと、毎日の食べること=日々の生活に

おわれてしまっているけれど、

やはり、この心の中で生きている子

この世の中でもっと遊びたかった子どもたちの為にも

なにかしたい・・・正直、素直に思った。

 

やっぱり、この映画は沢山の人にみてもらってほしい

前から、細谷亮太さんというドクターが気にはなっていたが

実際、話を聞く事ができ、嬉しかった。

 

帰り道、ミクがギターのレッスンに寄った。

余り聞いたことがないが、暑いし

そのままお邪魔させてもらった。

 

入院中、私たちを癒してくれたCDはウクレレとピアノ。繰り返し聴いた。

弦楽器って、心にズーンと沁みるんだよね

ミクのギターはとても、人の心をくすぐるような音には

ほど遠いけれど、音楽って

悲しい気持ちを、一度に洗う力をもってる。

期待は、してないけど・・・できたら

その気持ちだけ、分かるような大人に成長しますよーに。

なーんてね・・・

 

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