九月十日(金)
ヤンソンさんの誘惑
たまたま、この料理を仕事がらみで、
スタッフのさなえちゃんが撮影のために作っていた。
ひと口食べると、いつものグラタンとも
色合いも微妙に違うことに
カメラ男は、・・・・・・
これなに?
この名前も、なんで、こんな奇をてらうの?
といささか不可解な顔をしている。
私は・・・
この料理の噂を聞いたのは28年前で
実際、初めて食べたのは27年前
そのころ、新しく弟子入りしてきた
3歳年上のMちゃんは、3年間前、
スエーデンのアバというグループ歌手を
追っかけているうち、その地で3年間、仕事をしていたという
先に料理の噂は、師匠がスエーデン語関係の翻訳家
ヤンソン由美子さんと知り合いで、
たしか彼女から聞いた料理名だった。
その時、誘惑・・・・だなんて、
ずいぶん大げさな名前に翻訳したものだ・・・・私も思った。
その後、スエーデンかぶれのMちゃんが、
いかにヤンソンさんの誘惑が美味しいか、教えてくれ、
時々みんなのリクエストで作ってくれた。
そのころの日本はバブル絶頂期で料理の世界は
各国の料理であふれていた。
いまではアンチョビーなど、西友でも買えるが、
あの頃は、それを買いに
広尾のナチュラルマーケットか、青山紀伊国屋にいくことが
また、バブル期の当たりまえのステータスだった。
で、ヤンソンさんの誘惑って
なに?
の会話にもどすが、
私が、答えたのは
うーん
ヤンソンは日本でいえば、鈴木とか田中とか、ゴロゴロいる名前。
この料理はスエーデンでいえば、
日本の肉じゃがみたいなものでしょう
知らない人がいないくらい、じゃが芋料理では極オーソドックスなもの
あっ・・そうなんだあ・・・と納得して、
試食をしはじめた。
それまで、不審な顔に満ちていたが
スーッと受け入れられたようで・・・
材料は、じゃが芋と生クリームとアンチョビ、タマネギだけ。
交互に重ねて、キャセロールで1時間焼くだけ。
素材は実に地味なのである。
でも、シンプルでおいしい。
これをこの料理名にした人は、一体どんな人なんだろ
余談だけど、スエーデンといえば肉団子を、
ジャムで食べる、これまた、日本人にはさらに不可解な一品かもしれない
いまでは、すっかり有名になった大型マーケットの
IKEYA イケヤ (スエーデンのアンテナショップ)
ここの食堂で食べることができるけれど、
確か残念ながら、このスエーデンの家庭料理
ヤンソンさんの誘惑はない。
おそらく日本人にはいわしの塩オイル漬けなるアンチョビの
のっかったヤンソンの方が口にあう
肉団子は、きっと辛子酢醤油でたべたいとおもうだろう。
ジャムはトーストじゃないの・・・きっとそう思うにちがいない。
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